近年、ランナーや健康意識の高い人々の間で「VO2Max(最大酸素摂取量)」という言葉をよく耳にするようになりました。
私自身、普段からGarminのスマートウォッチを愛用しており、画面に表示されるこの数値の存在は知っていたものの、正直なところ「話題になるまではよく分かっていなかった」というのが本音です。
しかし、様々な研究や専門家の発信を調べ、自分自身のランニング経験と照らし合わせる中で、この数値が持つ「本当の意味」が見えてきました。
今回は、私の実体験と哲学的な視点から、VO2Maxと「生きる力」の関係について紐解いていきます。

1. VO2Maxは「速く走るため」だけの指標ではない
VO2Maxと聞くと「マラソンでタイムを縮めるためのもの」と思われがちです。
しかし調べていくうちに、数値が高いからといって直接的に速く走れるわけではないことが分かりました。
疲れにくい身体と、長く生きるためのバロメーター
VO2Maxの本質は、「疲れにくい身体にする」ことにあります。
この数値が高いということは、心臓や肺から全身の各器官へ、効率よく酸素を供給できる状態を意味します。酸素の供給量が高まれば、高い強度の運動をしていても息切れや酸欠になりにくくなります。
医学的な研究でも、VO2Maxの高さは単なる運動能力の指標にとどまらず、「長く元気に生きる(健康寿命を延ばす)」ための重要なバロメーターであると言われています。
実体験:酸欠や横腹の痛みからの解放
私もランニングを始めたばかりの頃は、少し走っただけで酸欠になったり、横っ腹が痛くなったりする経験を何度もしました。 しかし、ランニングを継続し、結果としてVO2Maxが向上した現在では、そのような不快な症状はすっかりなくなりました。
数値の向上は、間違いなく「快適に動き続けられる身体」への進化を証明してくれています。

今でも横っ腹が痛くなることランニングを続けられています!!
2. 「Zone5」の極限状態と、肺がストレッチする感覚
VO2Maxを効率よく引き上げるには、心拍数を限界近くまで引き上げる「Zone5(最大心拍数の90%以上)」と呼ばれる強度の高いトレーニングが必要だと言われています。


意図的な限界突破がもたらすもの
私は、普段の練習で無理にZone5のトレーニングばかりを積んでいるわけではありません。
しかし、大会が近くなりペースを上げるために8〜9割の出力で走った時、山を全力で駆け上がった時、あるいはラストスパートでダッシュをした時など、何度かこのZone5の状態を経験しています。
その時の状態は、もはや「走る」というよりも「呼吸を整えることに全集中している」という表現が正しいかもしれません。しかし同時に、大きく息を吸い込むことで、肺が内側から大きくストレッチされているような、強烈な生命活動を感じます。
不思議なもので、このような極限状態を経験して十分な休息を取った後の次の日のランニングでは、いつものペースが信じられないほど楽に感じられるのです。
3. なぜ我々は自ら苦しみに飛び込むのか?【哲学の視点】
もちろん、日常生活を送る上では、わざわざZone5のような息が絶え絶えになる苦しい状況に身を置かなくても、長く丈夫な身体を作ることは可能です。
「慣れ」を捨て、あえて困難な状況に身を置く
一定のコントロール可能で予測可能な範囲の運動を続けていれば、体はそれに「慣れ」てくれます。慣れることで効率的に動けるようになるのは事実です。
しかし、そこからさらに次の段階へステップアップするためには、「あえて困難な状況に身を置くこと」が不可欠だと私は感じています。古代のストア派の哲学者たちも、精神を鍛えるためにあえて自発的な苦痛を受け入れました。
予測可能な安全地帯から抜け出し、あえて苦しい負荷をかける。
それに体を慣らし、そしてまた「過去の自分」を捨てて次のステップへ向かう。この繰り返しこそが、生命力を高める哲学的なプロセスなのだと思います。
4. 【体験と考察】息が絶え絶えになる中で何を考えているか


では、実際に肺が焼け付くようなきついトレーニングの最中、私は何を考えているのでしょうか。
「あと100m」ではなく「目の前の1歩」に集中する
足はだんだんきつくなり、鉛のように重くなってきます。そんな時、「あと100mもある」と考えてしまうと、途端に道のりは長く、つらいものに変わってしまいます。
だから私は、「1歩前に踏み出すだけ」と考えるようにしています。
道に線があれば、その線を辿ってただ1歩踏み出す。それを無意識に繰り返すだけで、確実にゴールへと近づいていきます。
命綱である「呼吸」だけは絶対に止めない
そして、どんなに苦しい場面でも、どんなに空気が吸えない状況でも、意地でも呼吸を止めないことを意識しています。
無酸素状態になれば一瞬の爆発力は出るかもしれませんが
長く走り続ける持久走において、呼吸は文字通り「命綱」です。
呼吸が絶えれば酸欠になり、脳や体に酸素が行き渡らず、最悪の場合は意識を失います。
「生き続けるため」に、絶対に呼吸だけはやめない。それが極限状態での私のルールです。
苦しみの先にある「至福のご褒美」
また、きついトレーニングを乗り越えるための原動力として、「終わった後のご褒美」を用意することも欠かせません。
大会に向けて結果を出したい時期は、食事にも気を使い、質素な鍋生活が多くなります。
だからこそ、きつい練習を終えてシャワーを浴びた後に食べる「赤身の肉」や、たっぷりのアミノ酸ドリンクは、体を回復させる意味合いを持ちつつも、私にとって最大の至福の時間となります。
「これが終わればごちそうだ」と思えるからこそ、限界のその先へ踏み込めるのです。


5. まとめ:長く生きる、動くためのVO2Maxとの付き合い方
VO2Maxの重要性が認識されつつありますが、普段運動をしていない人がいきなりZone5のような高負荷な運動を行うのは非常に危険です。
まずは少しずつ運動を始め、継続して体を慣らしていくだけでも数値は十分に上がっていきます。無理に数値を追う必要はありません。
Garminのようなデバイスによって数値が可視化されるのは、自分の成長が分かりやすく、誰かと共有しやすいというメリットがあります。しかし、一個人としてランニングを楽しむのであれば、自分自身の「感覚」を頼りにするだけでも十分だと私は感じています。
「長く生き、長く動くために、自分が納得のいく状態であること」
VO2Maxという数値は、その納得感を得るための一つの指標に過ぎません。これからも私は、時折あえて困難に身を置きながら、目の前の1歩と呼吸に集中し、自分自身の身体と対話するランニングを続けていきたいと思います。
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